アジア流通研究会　SARD

「第10回ワークショップ」開催案内

・日　時　：　2012年11月30日（金）～12月2日（日）
・場　所　：　流通科学大学

・テーマ　：　“New Opportunity and Challenge
　　　　　　　　　　　　　　　 for Asian Retail Development in the Next Decade“

プログラム

＜テーマの趣旨＞

リーマンショックの勃発以来、欧米諸国の景気が急激に冷え込む中で、世界経済における新興市場、なかんずくアジア市場の重要性は一層増してきた。現に依然として個人消費の拡大が続いているアジア地域は、内外の小売企業が複雑に入り混じる真剣勝負の場として改めてクローズアップされている。

振り返れば、小売国際化の波が本格的に押し寄せてきた1980年代後半以来、アジア小売市場の主役は、ニュー・フロンティアを求めて、いち早くアジア地域に進出した欧米のグローバル・リテイラーであった。彼らは、現地の前近代的な取引慣行と排他的な流通政策に苦労しながらも、その優れたビジネス・システムを現地の消費者に合わせる適応化戦略を採り、一定の成果を上げることができた。一方、グローバル・リテイラーの進出によって、自国の小売市場が厳しい国際化の洗練を受ける中で、技術受容と学習効果を通して数々の小売イノベーションを成し遂げてきたために、逞しくなった現地の大手小売企業も、グローバル・リテイラーへの対決の姿勢を崩さなかった。

ところが、このようなグローバル・リテイラーと現地の小売企業間の競争構図で特徴づけられるアジア小売市場は、今後、その様相が一層ダイナミックになることが予想される。
第1に、すでに進出したために先発者優位性を保っているグローバル・リテイラーの後を追うべく、成長するアジア市場の魅力に惹かれた二番手のグローバル・リテイラーも、今後本格的にアジア地域への上陸を試みるだろう。
第2に、一昔前までアジア地域の盟主であった日本の大手小売企業も、長引く不況と高齢化・少子化による日本市場の縮小均衡が不可避であるゆえに、アジア小売市場への参入を活発化させている。
第3に小売市場が成熟期を迎えた韓国や台湾等の大手小売企業も日本の後を追っている。
第4に現地の小売企業も、これ以上外国の小売企業に自国市場を奪い取られる訳には行かず、渾身の応戦戦略を講じていくだろう。アジア小売市場は、これからの10年間、既存の内外の小売企業間の対決だけでなく、巨大な市場機会を狙い、新規参入する海外の小売企業の挑戦も、本格化するに違いない。

節目の10回目（下表の「ＳＡＲＤワークショップ10年間の歩み」を参照）を迎えた今年のＳＡＲＤワークショップは、以上を踏まえて、“New Opportunity and Challenge for Asian Retail Development in the Next Decade”と題して、ＳＡＲＤの本場である流通科学大学で開催される。
小売国際化が一層本格化していくアジア各国の小売市場の現状を分析した上で、近未来を概観しかつその行方を占うことにしたい。

Call for Papers for 10th